「殺人の門」 東野圭吾
「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことができないのだ。殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何なのだろうか?人が人を殺すという行為は如何なることか。直木賞作家が描く、「憎悪」と「殺意」の一大叙事詩。
殺人という物騒なワードがあり躊躇する方も多いと思います。
しかし、私がこの小説を気に入っている理由は、主人公の幼少期からおそらく20代後半までの過酷で悲惨な人生を繊細に描写しているところです。
不幸は親の離婚から始まり、親の失業による貧困、学校でのいじめ、職場での嫌がらせ等、数々の不幸に見舞われるが、それでも普通の幸せを手に入れようと必死で生きる姿が私は好きです。