挫折と再起の物語

おすすめの本や音楽の紹介をしていきます。

「生きるぼくら」 原田マハ

いじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生(あそうじんせい)。頼りだった母が突然いなくなった。残されていたのは、年賀状の束。その中に一枚だけ記憶にある名前があった。「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」マーサばあちゃんから? 人生は四年ぶりに外へ! 祖母のいる蓼科(たてしな)へ向かうと、予想を覆す状況が待っていた──。人の温もりにふれ、米づくりから、大きく人生が変わっていく。

いじめを受け、ひきこもりだった麻生人生。蓼科でひとりぐらしを続ける人生の祖母、中村真麻。対人恐怖症の中村つぼみ。田んぼから三人は前をむいて歩み始めた―。収穫のとき、それぞれの心に温もりが実る。山本周五郎賞作家が描く感動の成長小説。

 

生きるぼくら (徳間文庫)

生きるぼくら (徳間文庫)

 

 

 

 

 

 

「殺人の門」 東野圭吾

「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことができないのだ。殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何なのだろうか?人が人を殺すという行為は如何なることか。直木賞作家が描く、「憎悪」と「殺意」の一大叙事詩

 

殺人という物騒なワードがあり躊躇する方も多いと思います。

しかし、私がこの小説を気に入っている理由は、主人公の幼少期からおそらく20代後半までの過酷で悲惨な人生を繊細に描写しているところです。

不幸は親の離婚から始まり、親の失業による貧困、学校でのいじめ、職場での嫌がらせ等、数々の不幸に見舞われるが、それでも普通の幸せを手に入れようと必死で生きる姿が私は好きです。

殺人の門 (角川文庫)

殺人の門 (角川文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2006/05/26
  • メディア: 文庫
 

 

「遭難フリーター」 岩淵弘樹

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金がない、それだけでなんでこんなに苦しいのか。いつになれば楽になれるのか―。

六〇〇万円の借金を抱えた二三歳の俺は、埼玉のプリンター工場で派遣社員になった。きつくて虚しい単純労働、嘘とエロとギャンブルにまみれた同僚たち。

金と生きる意味を求めてさまよう若者のリアルを切り取った傑作ノンフィクション。

 

遭難フリーター (幻冬舎アウトロー文庫)

遭難フリーター (幻冬舎アウトロー文庫)

  • 作者:岩淵 弘樹
  • 発売日: 2010/12/01
  • メディア: 文庫
 

 

 

「二度はゆけぬ町の地図」 西村賢太

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中卒で家を出て以来、住み処を転々とし、日当仕事で糊口を凌いでいた17歳の北町貫多に一条の光が射した。夢想の日々と決別し、正式に女性とつきあうことになったのだ。人並みの男女交際をなし得るため、労働意欲に火のついた貫多は、月払いの酒屋の仕事に就く。だが、やがて貫多は店主の好意に反し前借り、遅刻、無断欠勤におよび…。夢想と買淫、逆恨みと後悔の青春の日々を描く私小説集。

二度はゆけぬ町の地図 (角川文庫)

二度はゆけぬ町の地図 (角川文庫)

 

 

 

 

「暗渠の宿」 西村賢太

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貧困に喘ぎ、暴言をまき散らし、女性のぬくもりを求め街を彷徨えば手酷く裏切られる。屈辱にまみれた小心を、酒の力で奮い立たせても、またやり場ない怒りに身を焼かれるばかり。路上に果てた大正期の小説家・藤澤清造に熱烈に傾倒し、破滅のふちで喘ぐ男の内面を、異様な迫力で描く劇薬のような私小説二篇。デビュー作「けがれなき酒のへど」を併録した野間文芸新人賞受賞作。

 

暗渠の宿 (新潮文庫)

暗渠の宿 (新潮文庫)

 

 

 

 

「蠕動で渉れ、汚泥の川を」 西村賢太

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善だの悪だのを超越した物語

『17歳の失敗は、人生の失敗じゃないのだ』と
貫多は私に教えてくれた――湊かなえ


こんな青春も、存在する――17歳。中卒。日雇い。人品、性格に難あり。しかし北町貫多は今日も生きる――。無気力、無目的に流浪の日々を送っていた貫多は、下町の洋食屋に住み込みで働き始めた。案外の居心地の良さに、このまま料理人の道を目指す思いも芽生えるが、やがて持ち前の無軌道な性格から、自らその希望を潰す行為に奔り出す――。善だの悪だのを超越した、負の青春肖像。渾身の長篇私小説! 解説・湊かなえ

 

蠕動で渉れ、汚泥の川を (角川文庫)

蠕動で渉れ、汚泥の川を (角川文庫)

  • 作者:西村 賢太
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

「人もいない春」 西村賢太

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さいころから執念深く、生来の根がまるで歪み根性にできている北町貫多。中卒で家を飛びだして以来、流転の日々を送る貫多は、長い年月を経てても人とうまく付き合うことができない。アルバイト先の上司やそこで出会った大学生、一方的に見初めたウエイトレス、そして唯一同棲をした秋恵……。一時の交情を覆し、自ら関係破壊を繰り返す貫多の孤独。芥川賞受賞作『苦役列車』へと連なる破滅型私小説集、待望の文庫化。

 

人もいない春 (角川文庫)

人もいない春 (角川文庫)

  • 作者:西村 賢太
  • 発売日: 2012/01/25
  • メディア: 文庫